いい本に出合いました。
節約しているとたまに「これって本当に役立ってるのか」という気持ちになることもあります。額が小さいものが多いため、節約したものが利益になり、それが貯金につながっている実感がないんですよね。
そんな状況に答えを出してくれたのがこの本、会計HACKS!です。
HACKSシリーズの小山さん、さおだけ屋はなぜ潰れないのか?の山田さんの共著です。
企業会計を家計に置き換えて説明されていて、会計知識がなくても非常にわかりやすいです。
節約に関しても、家計でも役立ってることが明確になります。
節約額は利益と等価値
企業会計の損益計算では、簡単な式から考えることで、圧縮できた費用(節約額)が利益と等価値であることがわかります。
さて、損益計算の公式を改めて見てみましょう。
売上-費用=利益
この損益計算の公式が示唆するのは、次の2つのポイントです。
①100円の売上と100円の利益は等価値ではない
(売上を伸ばしても、そこには費用が含まれるので、利益と同額ではない)
②100円の費用と100円の利益は等価値である
(費用の圧縮がそのまま利益の額になる)売上の中には、売上を上げるための原価が含まれています。そのため、100円の売上を上げたからといって、そのままそれが100円の利益になるわけではありません。
ところが、費用はそのまま、利益と同価値です。費用が圧縮できれば、その分がそのまま利益になります。
会計的視点では、費用と利益は同じなんですね。
確かに『売上-費用=利益』なら、費用が減ればその分利益は大きくなるので、この考え方は重要です。
家計の利益=節約額=貯金額である
上の考え方を家計に置き換えると、給与が売上です。
すると、家計の利益=節約額(費用圧縮分)であることがわかります。
さらに、クレジット払いや銀行引き落としなど、節約した分が預金として残る支払い方なら、節約したものがそのまま貯金にもなります。
ちょっとイメージしにくいですが、会計思考で考えるとわかりやすいです。
家計の場合はさらに、費用のコントロールが重要になってきます。
というのも、売上である給与を急に増やすということが難しいから。利益とも等価値である費用の削減、つまり節約こそが重要になるのです。家計における利益=節約額
家計のP/L上に計上された利益はさらに、B/Sの純資産のパートへと移り、利益剰余金と名前を変えるのが、会計の仕組みです。
このとき、この利益剰余金は、左側の資産の部にある現金や預金などとバランスすることになります。
仮に、この利益剰余金をすべて預金として管理していたとすると、さきほどの公式はさらに、次のように書き加えることができます。家計における利益=節約額=貯金額
しっかり貯金がしたい!と思う人は多いと思いますが、それはこの原則によれば、しっかり節約したい!ということと同じ意味になります。
会計的に見ると『利益』『節約額』『貯金額』の3つがつながります。
節約=貯金とはっきりわかれば、節約の大切さが理解しやすいですね。
心理に左右されず絶対額で節約しよう
さらに会計HACKS!では、節約を絶対額で考える大切さにも言及しています。
100万円の商品が1%割引になるのと、1万円のものが半額になるのと、どちらがお得でしょうか。
つい、1万円が半額になるほうを選びがちですが、絶対額から考えれば100万円の1%割引のほうが倍、お得です。前者が1万円の割引額になるのに対し、後者は5,000円にしかならないからです。
~中略~
このように金銭感覚が麻痺してしまいがちな問題に、昼食と夕食の区別があります。
昼食の900円と夜の立ち飲み屋さんの1,000円と比べたとき、どちらが安く感じますか?
立ち飲み屋で1,000円なら安い!と思った人は、間違いです。会計的には、昼食、夕食の区別はなく、900円のほうが安い、となります。
人はついつい、「夕食にしては安い」とか「飲んだ割には安い」という判断をしてしまいがちですが、会計的には絶対額で見るのです。
これ、やっちゃってました。
「あの人気商品がこの値段なら安い!」と思って買うこともありますが、使うお金自体は安くないことってありますよね。
『安かろう悪かろう』という言葉もありますが、絶対額に注目するのも大事ですね。
あらかじめ使用額を決めるプリペイド節約術
会計HACKS!では、プリペイドカードによる節約術も提案しています。
あらかじめ決めておいた予算をEdyなどのプリペイド型ICカードに投入しておき、その予算内でやりくりするのです。ゼロになったらその月の予算は終了なので、翌月になるまで我慢することになります。
現金で支払っていると意識しにくい予算管理を、プリペイド型ICカードを使うことで、しっかり認識することができるのです。
「つい使いすぎてしまう」という場合には有効な節約術ですね。
ただ、ポイント面や使えるお店の多さではクレジットカードのほうが有利です。
まとめ
会計HACKS!は、会計視点で節約について学べます。
会計のエントリー本としても最適なので、青色申告など会計の勉強が必要な方は読んでおくと理解しやすくなると思います。
今はマネーフォワード クラウド確定申告などのおかげで、会計知識があまりなくても確定申告できますが、知識があったほうが使いやすいのは間違いありません。
ポイントをおさえた四季報の見方もあるので、投資をしている方にも役立つ良書です。